卵子凍結

卵子凍結とは、将来の妊娠・体外受精に備えて、若いうちに自身の質の良い卵子を採取し、凍結保存しておくことです。凍結保存することで、若いときの生殖能力を保ったまま長期間の保存が可能になります。当院で実施できるのは社会的適応の卵子凍結です。

医学的適応の卵子凍結:悪性腫瘍(癌)などの治療によって、その後に卵巣機能の低下が予想される場合
社会的適当の卵子凍結:加齢などの要因で卵巣機能の低下をきたすことが予想される場合

卵子の妊よう性は、30代半ばから大きく下降します。しかし卵子凍結をすることで、卵子は凍らせた当時と同じ妊よう性を半永久的に維持できます。できるだけ若い時に凍結することが大切です。

  • ※ 妊よう性
    … 妊娠する力

 

卵子凍結における妊娠率

卵子凍結によって保存した卵子を使って妊娠・出産するためには、卵子と精子とを身体の外で受精する体外受精が必須となっています。
卵子は凍結しているので、融解(溶かす)必要があります。融解の過程で5~20%の割合で卵子が破損してしまうこともあります。また、融解後、精子と受精すると受精卵(胚)になりますが、その受精卵が良好胚であるとは限りません。良好胚が子宮に着床してはじめて「妊娠」となります。
これらを踏まえ、卵子凍結での妊娠率を見てみましょう。

凍結卵子を融解した時の卵子生存の確率

融解後の卵子生存の確率・・・80~95%
その後、精子を注入した場合の受精率・・・60~80%

未受精卵融解後に、卵子が生存、受精し、質が良好な受精卵が確保できた場合に、卵子10個あたりで妊娠できる確率

卵子の生存率とその後の着床率を考えると、なるべく若い年齢で卵子凍結を行い、10個以上~できれば20個以上の未受精卵を凍結保存しておくことが望ましいということがわかります。

卵子凍結の流れ

排卵誘発を開始してから、採卵までの期間を採卵周期といいます。生理開始数日以内にご来院ください。

STEP0 Grace Bankの登録

来院前にGrace Bankの登録をお願いします。

STEP1 事前検査

ご予約の上、事前検査にお越しください。

STEP2 排卵誘発

月経開始1~3日以内でご来院いただき、「排卵誘発」を開始します。

STEP3 検査

月経開始から9~11日目ごろにご来院いただき、ホルモン検査・超音波検査を実施し、採卵日を決定します。

STEP4 採卵

月経開始から12~14日目ごろが採卵の時期となります。

採卵当日の流れ

STEP1 採卵の確認

まず排卵の有無を確認します。排卵してしまっている場合や、卵子の成長が止まってしまった場合は中止になります。

STEP2 採卵手術

排卵の有無を確認し、問題がなければ採卵手術に入ります。所用時間は約10分です。

STEP3 手術後

手術後、静脈麻酔を使用した場合は、回復室で2時間程度お休みいただきます。帰宅後は自宅で安静にお過ごしください。静脈麻酔を使用せず採卵した場合は、その後30分程度で帰宅し、お仕事に行くことも可能です。どちらの場合でも、帰宅前に採卵結果をご説明いたします。

保管方法について

当院は凍結卵子の保管先として卵子凍結保管サービス「Grace Bank」と提携しています。
凍結卵子は長期保管が見込まれるため医師の急病などでクリニックが閉鎖してしまった場合でも、凍結卵子はグレイスバンクで保管されているため、慌てて患者様に転院先をさがしていただく必要がありません。
また、転居に伴い当院への通院が難しい場合でも、グレイスバンクと提携している全国のクリニックへの凍結卵子の移送が可能です。

  • Grace Bankの利用は事前に会員登録が必要です。

Grace Bankはさい帯血保管を行うステムセル研究所にあり、ステムセルの保管システムは24年間無事故を誇り、最新のモニタリング機器と厳重なセキュリティ設備で患者様の大切な卵子をお預かりします。
将来、凍結した卵子を使って体外受精をする際は全国にある提携クリニックにて凍結卵子を利用した不妊治療を受けることができます。

  • 液体窒素の自動供給システム
  • 24時間対応の監視・記録・緊急時体制
  • 突然の地震や津波にも強いエリア
  • 最も高いレベルの建築物耐震基準クリア
  • ALSOK社による24時間警備体制

リスク・副作用

排卵誘発剤による副作用

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といい、腹痛や腹部の膨満感の症状があげられます。当院では、過度な誘発は行わないため、卵巣の腫れや出血といった副作用の症状はあまり起こりません。ですが、排卵誘発剤の効果には個人差があるため、卵巣が腫れてしまう方もまれにいらっしゃいます。
その場合は、数日間の自宅安静が必要となります。入院を要するような重度の副作用が発生するケースは全体の1%以下です。

採卵による副作用

下腹部の痛みや、出血などの症状が出る場合があります。
採卵は基本的には安全な手技ですが、経腟超音波ガイド下にて卵巣を穿刺するため、極めてまれに腸や膀胱などの臓器損傷を起こす可能性が報告されています。また、卵巣表面からの出血、卵巣内での感染が起こる可能性がありますが、全体の0.3%程度です。
このような場合には、数日間の安静入院が必要となる場合があります。

グレイスバンクでは、無料の個別相談を行なっていますので、まずは相談したいという方はぜひご活用ください。

 

受診前のご相談・
カウンセリングも
承っております

受診についてお悩みの方・治療をすべきか迷われている方は、
¥3,300(税込)で個別カウンセリングも行っています。
カウンセリングは事前のご予約が必要です。

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