高度生殖医療について

卵子と精子を体外で操作して胚(受精卵)を作成し、その胚を子宮内に移植して妊娠成立を目指す治療法をARTといいます。
「体外受精」と「顕微授精」の2つの治療法があります。
また、獲得できた胚を一時的に液体窒素内に凍結保存し、別の時期に胚移植を行う「凍結胚移植」も広く行われています。
卵管の状態が良くない(卵管閉塞、卵管水腫や高度卵管周囲癒着など)、精子の数が少ない、人工授精で妊娠に至らなかったなどの理由で、
不妊症の約半数のご夫婦がARTの対象となる可能性があります。

ARTの流れ

排卵誘発(卵巣刺激)

自然の排卵周期(排卵誘発なし)で採卵する場合、一度に多くの卵子の成長は期待できません。
採卵 1回あたりの獲得卵子数を増やすために、排誘発剤を使用して卵巣を刺激することを排卵誘発といいます。
排卵誘発は個々のホルモン状態や年齢等を考慮し、医師が最適な方法を決定していきます。
なお、排卵誘発には以下に挙げるよういくつかの方法があります。

排卵誘発における主な卵巣刺激法

1.通常刺激法

卵胞刺激ホルモン注射 + 排卵抑制剤(アンタゴニスト製剤)
・卵胞刺激ホルモンを生理開始3日目から採卵決定までの間(平均10日前後)、連日注射します。
・卵胞の発育をモニターしながら、必要に応じて排卵抑制剤(アンタゴニスト製剤)を注射します。
・卵胞が直径20mm前後まで発育したら、卵子の最終成熟を促すためHCG(注射)またはGnRhアゴニスト(点鼻薬)を投与します。
HCGまたはGnRhアゴニスト投与の翌々日が採卵日となります。

2.低刺激法

経口の排卵誘発剤(クロミッド等)+ 卵胞刺激ホルモン注射 + 排卵抑制剤(アンタゴニスト製剤)
・基本的には通常刺激法のやり方と似ていますが、経口排卵誘発剤を併用することで卵胞・刺激ホルモンの注射量を少なくした方法です。
・卵胞の発育をモニターしながら、必要に応じて排抑制剤(アンタゴニスト製剤)を注射します。
・卵胞が直径20mm前後まで発育したら、卵子の最終成熟を促すためHCG(注射)またはGnRhアゴニスト(点鼻薬)を投与します。
HCGまたはGnRhアゴニスト投与の翌々日が採卵日となります。

3.自然周期法

・基本的には排卵誘発剤を使用しませんが、状況により少量の排卵誘発剤を使用する場合もあります。
・卵巣への負担が少ないため、毎月採卵することも可能です。
・卵胞の発育をモニターしながら、必要に応じて排卵抑制剤(アンタゴニスト製剤)を注射します。
・卵胞が直径20mm前後まで発育したら、卵子の最終成熟を促すためHCG(注射)またはGnRhアゴニスト(点鼻薬)を投与します。
GnRhアゴニスト投与の翌々日が採卵日となります。

  • 排卵誘発の方法は、患者様の背景(年齢・卵巣予備能・治療歴等)を参考に医師により決定されます。
  • 診察日には必要時、ホルモン検査(採血)および超音波検査を実施いたします。
  • その他、必要に応じて、診察・検査・投薬が追加になる場合があります。

採卵

発育した卵胞に針を刺し、内容物を吸引することで卵子の回収を試みます。

  • 採卵時には局所麻酔を使用して行います。
  • 採卵に要する時間は発育している卵胞の数や状態により変動致します。
  • 採卵後は2時間程、リカバリーで休んで頂いてからの帰宅となります。

授精

通常媒精法と顕微授精法

卵子と精子が融合し、受精卵となります。体外受精における受精方法として、下記の二つの方法に大別されます。

通常媒精法(一般体外受精)

採卵後、卵丘細胞と呼ばれるふわふわした細胞に包まれた状態
の卵子と調整して得られた良好運動精子を培養液内で一緒にし、
精子が本来持つ受精力(精子が自らの力で卵子に侵入する力)
によって受精を試みます。

リット

  • 自然の受精に近い方法である
  • 受精過程で生ずる卵子に対する負荷が少ない

メリット

  • 精子の数が少ないと対応できない
  • 異常受精(多精子受精)が起こりやすい
  • 受精障害では全く受精しない場合もある

顕微授精法(ICSI)

運動性・形態的に良好な精子1個を、極細の針を用いて卵細胞
質内へ直接注入し受精を試みます。事前に卵丘細胞をはがし、
成熟が確認された卵子のみに実施します。

リット

  • 精子の数が極めて少ない人でも対応できる
  • 受精障害にも対応できる
  • 多精子受精が起こりにくい

メリット

  • 針を刺すため卵子には多少の負荷が掛かる
  • 針を刺したことで、卵子が壊れる場合もある
  • 未成熟な卵子には実施できない

胚移植

大切に胚発育させた受精卵を子宮腔内へ移植します。
胚移植には新鮮胚移植と凍結融解胚移植に大別されます。

方法

受精卵を吸い込んだ柔らかいチューブを子宮口から子宮腔内へ静かに挿入し、超音波で適切な位置を確認しながら受精卵を静置します。

移植時期

移植日は発育状況を参考に、医師により決定されます。

 

胚の凍結と融解

体外受精において、以下に挙げる様々な理由により、胚はしばしば凍結保存されます。

・子宮内環境を整えることで、着床阻害のリスクを低下させるため
・一度の採卵で良好な胚が多く得られた場合、複数回の移植を行うことで、採卵一回あたりの妊娠成功率を高めるため
・卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の重症化を防ぐため

凍結保存・融解の方法

凍結

受精卵は超急速ガラス化法により凍結されます。
超急速ガラス化法とは、凍結保護剤を浸透させた受精卵を液体窒素(マイナス196℃)で一瞬のうちに凍結させることで、高い生存率が得られる凍結方法です。
凍結した胚は、鍵のかかるタンクに入れられた液体窒素の中で保管・管理されます。

融解

融解は専用の融解液を使用して行われます。
受精卵は液体窒素(マイナス196℃)から37℃に加温した融解液に一気に投入されることで融解されます。
融解した受精卵は培養液の中で培養され、その後、移植されます。

ART(体外受精・顕微授精)料金

ART実施では治療に関する費用全額が自己負担(健康保険適応外)となるため、一度の治療に際し、多くの費用を必要とします。
費用に関しては、治療開始前に受けて頂くARTセミナー内で料金表をお配りし、ご説明致します。
なお、実際にお支払いいただくART料金は、【卵巣刺激の方法および投薬の種類・処方量】 と【当院における採卵実施回数および治療内容】により決定されます。
また、当院でARTをお受けになられる患者様のなかで申請条件を満たしている方は、各自治体のルールに基づいて治療費の一部が助成されます。

注:当院における各種料金のお支払い方法は、現金または各種クレジットカードとなります。
必ず治療日にお支払い下さい。

高度生殖医療(ART)について

当院は、山形県特定不妊治療費助成事業の指定医療機関となっております。